Area - IL BANDITO DEL DESERTO
このノリ、ハイテク、変態ボーカル。
たまらない。
フリージャズと民族音楽の過激な折衷に当時のポピュラー音楽としては非常に実験的な要素を内包しており、一般的なジャズ・ロックよりも狂騒的かつエネルギッシュなサウンドを誇る。奔放な変拍子や即興を駆使した楽曲と難解でミクスチャー的な音楽性をジャズ/ロック的ダイナミズムと共に表現できる演奏技術の高さと、デメトリオ・ストラトスの卓越した技術とエスニックな泥臭さを兼ね備えたボーカルで知られている。
また、現代音楽的なアプローチの導入も特筆すべき点であり、爆発的な即興演奏と具体音や電子ノイズの混合など、生身のバンド演奏のみに拘泥しきらない実験性も兼ね備えていた。また「プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ」や「バンコ・デル・ムトゥオ・ソッコルソ」をはじめとする同国のプログレッシブ・ロック・バンドの多くが、70年代後期から次第にポップスやフュージョンに傾倒し、多かれ少なかれコマーシャル性を意識した音楽性を打ち出していったことに反して、アレアはストラトスの死まで独特の音楽性を変節させることはなかった。
その独特の存在感故現在でもその評価は高く、イタリアン・プログレッシブ・ロックに多いクラシック/シンフォニック色は希薄であり、なおかつ一般的なジャズ・ロックからは逸脱した混沌とした音楽性ながら、イタリアン・プログレ、ひいては「オザンナ」一派や「アルティ・エ・メスティエリ」らに代表される同国のジャズ・ロック史においては未だに代表的な位置を占めている。